飲食店でテレビ番組を流してもいいの?

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飲食店でテレビ番組を流してもいいの?

店内にテレビを設置し、番組を放映することは飲食店経営における有効な集客法のひとつです。
しかし、テレビ番組というのは誰かが制作した「著作物」のひとつ。そこには著作権というものが存在します。

不特定多数が出入りする飲食店でテレビ番組を流す場合は、気を付けなければ著作権侵害になってしまうことがありますので注意しましょう。
ここでは、飲食店などの店舗でテレビ番組などを流すときの注意点についてご紹介します。

テレビ番組はリアルタイムのみ

飲食店に行くと、店内に設置されているテレビで、そのとき放送されているテレビ番組が流されていることがあります。テレビを観る目的ではなくても、流れているとついつい観てしまいますよね。

このように、「そのとき放映されているテレビ番組」を、「営利を目的とせず」に店内で流すことは問題ありません。著作権法には、以下のように記されています。

放送され、又は有線放送される著作物(放送される著作物が自動公衆送信される場合の当該著作物を含む。)は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、受信装置を用いて公に伝達することができる。通常の家庭用受信装置を用いてする場合も、同様とする。
(著作権法第38条3項)

つまり、リアルタイムで放映されている番組を、お金を取らずに流すことは、著作権侵害にはならないということです。

録画したものを許可なく流すと著作権侵害に

その時点で放映中テレビ番組を流すことは著作権侵害になりません。
しかし、テレビ番組を録画し、DVDなどにして流す場合は著作権侵害になります。著作権には「複製権」という権利が含まれていますが、録画した番組を流すことが、この複製権の侵害に当たるのです。
個人で楽しむために番組を録画して視聴(私的利用)することは問題ありません。しかし、それを飲食店という不特定多数の方が出入りする場所で流すことは私的利用の枠を超えています。

これは販売されているDVDやブルーレイの上映も同じです。「お金を支払って買ったのだから、DVDの映画を流してもいいんじゃないの?」と思ってしまいがちですが、いずれも「私的利用」を目的にした複製物。不特定多数に向けて上映することを前提としたものではないということを覚えておきましょう。

パブリックビューイングは要注意

飲食店でテレビ番組を流してもいいの?

ワールドカップが近づき、店内でサッカーの試合を放映して集客に結びつけようと考えている飲食店経営者も多いと思います。
サッカーなどのスポーツも、著作権法上の「映画著作物」に当たり、著作権は誰かほかの人や団体(ワールドカップの場合はFIFA)などが持つことになります。

当然、放送中の試合を家庭用のテレビで流すことは問題ありません。しかし、パブリックビューイングと呼ばれるような、大型スクリーンを使用した上映は注意が必要です。例えば300インチの大型スクリーンは、著作権法で許可されている「家庭用受信装置(家庭用テレビ)」であるとは言えません。
家庭用ではないスクリーンを用いてテレビ番組を流すことは著作権侵害になりますので注意しましょう。

家庭用のテレビを使って放映中のテレビ番組を流すことは、著作権侵害に当たりません。
ただし、録画したものや購入したDVDの上映、また家庭用の範囲を超えた大型スクリーンでの上映は著作権侵害に当たります。

店舗にテレビを設置しようと検討中の方は、ここで紹介したことに注意をするようにしてください。最近の家庭用テレビは高性能で、壁かけにできるものが多いので、大型スクリーンなどを用いらずとも充分集客効果のあるテレビ上映ができますよ。

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