【マンションの壁掛けテレビ問題】賃貸で設置するときの注意点と対策

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【マンションの壁掛けテレビ問題】賃貸で設置するときの注意点と対策

引っ越しを機に、テレビを大型に新調する方もいらっしゃるでしょう。戸建ての場合、テレビの設置方法に悩まされることは少ないですが、マンションや賃貸物件の場合は大きな問題になってしまいます。
ルールを確認せずに壁に穴を開けると、莫大な修繕費を負担しなければいけないことも。
今回ご紹介するのは、マンションで壁掛けテレビを設置するときに気をつけたい、壁の規約と所有権のお話です。賃貸物件で壁掛けテレビを検討している方は、ぜひご参考ください。

マンションの壁掛けテレビ問題「区分所有法」

マンションの壁面の所有権には、マンションの管理や壁面利用の実情から考えられた3つの説が存在します。それぞれの違いや問題点、マンションの壁面工事で「できること・できないこと」を見てみましょう。

▼マンションの区分所有法の根拠① 共有部分説(内法説)
共有部分説(内法説)は、「マンションの壁は住人同士の共有物なので、勝手に壊したり物を打ちつけたりすることはできない」とする説です。この説では、住人の所有権は「壁・天井・床に囲まれた空間」のみ。つまり共有物であるマンションの壁には、壁掛けテレビのネジ留めして設置することはできないということになります。
ただしこの説は「壁・天井・床に囲まれた空間を所有」であるが「壁は境界であり共有物」という矛盾も指摘されています。
またこの説に従うと、エアコンの排気管やネット回線などの内装工事もできないことになるので、実際の住宅事情とはかけ離れていると言われています。

▼マンションの区分所有法の根拠② 専有部分説(壁心説)
専有部分説は、「マンションの壁面は一定の部分まで専有物である」、具体的には「壁の中心から半分が所有物である」という説です。
ただしこの説は、マンションの耐久維持・管理から考えると現実的ではありません。壁を挟んだ住人同士が好き勝手に穴を開けてしまうと、極端な話、マンションが崩れてしまうかもしれないというわけです。

▼マンションの区分所有法の根拠③ 折衷説・上塗説
上の2つの説を照らし合わせて、より現実的なルールとして考えられたのが折衷説・上塗説。「マンションの躯体(骨組み)以外、つまり石膏ボードなど表面部分を住人の所有物とする」という考え方です。
この折衷案では、鉄筋コンクリートなどに上塗されている石膏ボードや壁紙などは住人が手を加えて良いことになっています。簡単な壁の加工ができる現実的な考え方であるとして、国交省が定める「マンション標準管理規約」や法務省が編さんした「新しいマンション法」にも採用されています。

マンションで壁掛けテレビをするリスクと対策

【マンションの壁掛けテレビ問題】賃貸で設置するときの注意点と対策

「壁はすべて共有物」とする説や「壁の半分は個人所有物」とする説、間を取った「壁の表面は個人所有物」という説があります。どの説においても、鉄筋コンクリートなどの躯体・骨組みは共有物であり、ネジ留めなどはできないことになっています。
日本の住宅事情では、テレビの重量にもよりますが間柱2本にネジ留めするのが一般的です。石膏ボードだけで壁掛けテレビの重量を支えるのは難しいでしょう。かといって自己責任という形で壁に杭を打ちつけてしまうと、あとで多額の修繕費を請求されてしまうリスクも考えられます。

そのため、最近では壁面ネジ留め以外の方法も注目されています。
キャスター(台座)付きの専用ラックは、手軽で見た目もスマートな方法です。木材を突っ張り棒のように使う「ディアウォール」も、壁面を一切傷つけない方法として注目されています。

今回ご紹介した区分所有法の3つの説は、不動産会社やオーナー、法律家の間でも意見が分かれるものです。マンションで壁掛けテレビを検討している方は、トラブルを防ぐためにも必ず管理会社などに確認するようにしましょう。
もし壁に直接テレビをつけられないとしても、他の設置法や壁掛けアイテムを使うこともできます。住宅事情に合わせて、一番いい方法を見つけましょう。

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